初心者が課題に頑張ってトライしているけど、手順や足の置き場所を間違えて登れない時、あなたならどうしますか?

クライミングジムあるあるですが、間髪入れずにアドバイスする、おせっかいな先輩クライマーをよく見かけます。

「そのホールドが右手ですよ!」

「足ここです!!」

クライミングはとにかく登れたら気持ちいい。そして、課題は間違ったムーブで登るより、正しいムーブで登った方がいいのは言うまでもありません。でも、そのムーブを自分で考えることは、もっと大事です。ムーブを自分で考えずに、いつも先に答えを教えてもらっていては、考える力が身に付かないからです。

そんな先輩クライマーに囲まれている初心者は、課題はいつも答えを教えてもらって登るものなんだと勘違いしてまい、今度は自分が先輩ヅラして、後輩クライマーに教えていくでしょう。これが「小さな親切、大きなお世話」の連鎖です。

私がジムでレッスンしているときに、何もアドバイスせずに登らせている時があります。それを可哀想だからと、親切心で声をかけて下さる方がいますが、私たちは決して忙しいから、面倒だから、放っておいてるのではありません。正解の登り方を教えるだけがインストラクターの仕事ではないのです。それなら、クライミング上級者なら誰でもできます。私たちが教えているのは、ストレッチやウォームアップから始まり、クライミングの基本(手足の使い方やテクニック)、オブザベーション、レストの取り方、クールダウン、指や腕のケアなどなど、多岐に渡ります。そして、先輩クライマーが教えるべき一番大事なことのひとつが、「考えること」です。ムーブを考えられるようになるために、まずは何をしたらいいか、そういうところまで、私たちは指導しています。

先輩クライマーのみなさん、初心者クライマーが頭を使って考えるチャンスを、どうかその親切心で奪わないで下さいね!